シーリング材とは
シーリング材と接着剤の違いについて
シーリング材は構造物の隙間(目地)に充填する事で、雨水の侵入口を防いで防水する フィルドジョイント 構法に使用される製品です(下図はシーリング材の代表使用例)。
接着剤は物を接着できる製品ですが、伸縮性能についてはシーリング材ほど高くない製品が多くなっています。
ご使用する目的や用途に応じて使い分けが必要となります。
シーリング材(シーラント)とコーキングの違いについて
シーリング材(英語表記:Sealant(シーラント))のseal(シール)は封印する・密閉するという意味で、その材料をシーリング材と呼びます。
定型物のガスケットも広義ではシーリング材となりますが、一般的には狭義である不定形シーリング材の事を示します。
従来はコーキング(英語表記:caulking:隙間を詰める・水密にする)という名称でも使われていましたが、現在ではシーリング材に統一されています。
シーリング材と防水
構造物におけるジョイント(目地)の雨水浸入防止技術としては、次の2つの考え方があります。
(1)水の侵入口を防ぐ防水( フィルドジョイント 構法)
(2)水の移動エネルギーを消滅させるか、もしくは害のない程度まで弱める( オープンジョイント 構法)
(1)は目地にシーリング材を充填し、雨水の侵入口を塞いで防水する方法です。ペンギンシールはこのシーリング材をラインナップしているサンスター技研株式会社のブランドです。
シーリング材に求められる要件
シーリング材は次の要件が求められます。
①水密性、気密性を付与できる材料であること
②部材が離れたら伸び、接近したら縮み、目地の ムーブメント に対応できること
③ 耐久性 に優れていること
④日本独特の意匠性も保つこと
防水機能確保のための条件
シーリング材を外壁の目地に充填することによって、その外壁が一枚岩のように機能してくれることが望まれます。そのため、シーリング材防水機能確保は施工・設計・材料どれか一つもミスマッチが起こると不具合の発生につながります。
①施工
・降雨、気温などの施工環境が整っていること
・水分などの接着阻害因子がなく、下地として適切である
・資格の有無など、施工技量が確かであること
②設計
・立地条件を加味しているか
③材料
・材料選定で間違っていないか
・有効期限を守って使用しているか
確実なシーリング工事のためには、材料選定のみならず、目地の形状並び適切な施工が重要です。
性能を十分に発揮できるよう、目的に合ったシーリング材と プライマー の組み合わせをお選びください。
外壁とシーリング材
外壁にはガラスやコンクリートの他、幕壁とよばれるカーテンウォールなどがあります。 カーテンウォール には金属製やPCa(プレキャストコンクリート板)などがあり、構造と素材の組み合わせにより変形の仕方や変形量が大きく異なります。
その為、外壁によって最適なシーリング材と プライマー を選定する必要があります。
外壁・部位に応じたシーリング材の使用例になります。
詳細な選定はシーリング材の適材適所表(2成分形、1成分形)をご確認ください。
シーリング材とプライマー
シーリング材 が本来の防水機能を発揮するには、シーリング材そのものの物性だけでなく、目地構成部材(以下、 被着体 )に十分に接着することが基本です。しかし、被着体は多種多様で、これに表面塗装や表面処理されたものを加えるとその種類は無数にあります。これら多種の被着体にシーリング材を接着させるには、それぞれの被着体に応じた プライマー の助けが不可欠です。
プライマーの役割は以下の4つであり、ひとつとして見逃すことはできません。
①シーリング材と被着体の接着性の付与及び向上②表面強度の脆弱な被着体表面の強化
③多孔質物質の内部からシーリング材表面への水、アルカリなどの浸出防止
④被着体またはシーリング材からの 可塑剤 などの 移行 防止
ペンギンシールの各シーリング材に対応するプライマー選定表をご参照ください。
シーリング材の種類
- シリコーン系シーリング材
- シリル化アクリレート系シーリング材
- 変成シリコーン系シーリング材
- ポリサルファイド系シーリング材
- ポリウレタン系シーリング材
- アクリル系シーリング材
1成分形は、主にカートリッジ式であり、専用ガンに装填してそのまま使用するシーリング材
湿気硬化:空気中の水分と反応して表面から硬化するもの。
乾燥硬化:含有水分又は溶剤が蒸発することによって、硬化するもの。硬化すれば水には不溶となる。
非硬化 :表面は空気中の酸素と反応して皮膜を形成するが、内部は硬化しないもの
2成分形は、基剤と硬化剤を混ぜて使用するシーリング材。
混合反応硬化:基剤の主成分が硬化剤に含まれる触媒によって反応して硬化するもの
シーリング材の成分と概要
・シリコーン系シーリング材
特長:耐熱性、 耐候性 が良い欠点:目地周辺を撥水汚染する、塗料がのらない
主用途:ガラス回りなど
・シリル化アクリレート系シーリング材
特長:高耐候、高耐久を実現、目地周辺の 撥水汚染 をしない
欠点:シリコーン系と比べ、プライマーが必要
主用途: カーテンウォール ,ガラス回り,タイル,コンクリートなど
・変成シリコーン系シーリング材
特長:塗料がのる、汚染が少ない
欠点:薄層未硬化現象が生じる(MS-2)
主用途:カーテンウォール目地など(ガラスは用途としない)
・ポリサルファイド系シーリング材
特長:表面仕上げ性がよい、接着性が安定している
欠点:高温、高湿時に発泡の恐れ
主用途:石材、タイル目地など
・ポリウレタン系シーリング材
特長:安価である、塗装適性が良い
欠点: 耐候性 が劣る。高温、高湿時に発泡の恐れ
主用途:塗装仕上げ目地
・アクリル系シーリング材
特長:塗装適性が良い、水性であるため安全
欠点:体積収縮が大きい、未硬化時降雨での流失、0℃以下での施工不可
主用途:ALC板間目地、間仕切りなど
シーリング材の種類まとめ
このページでは主に6つのシーリング材を紹介しましたが、油性コーキング材やシリコーン系マスチックなど、シーリング材にはいろいろな種類があります。主な特長と欠点や用途を図にまとめました。
シーリング目地の設計
シーリング材の目地計算は非常に重要です。目地設計(幅・深さ)が正しくなされないと、破断・剥離などの不具合が生じ、最悪の場合には漏水に至る可能性もあります。
目地設計の流れ
目地設計は原則として「建築工事標準仕様書・同解説JASS8 防水工事」に示される流れに沿って行います。JASS8とは、一般社団法人日本建築学会が作成した防水工事標準仕様書です。
①目地に動きがあるかないかを判断してから目地設計に入る
②目地に動きがある場合、目地に発生することが予想される ムーブメント を算定し、必要な目地幅を決定します。
③目地幅に合った深さを決定します。
ムーブメントの種類
目地はムーブメントの大きさによって、 ワーキングジョイント と ノンワーキングジョイント の大きく二つに分けられます。前者は ムーブメント が比較的大きな目地をいい、後者はムーブメントが小さいか、又はほとんどムーブメントを生じない目地のことをいいます。
目地に発生するムーブメントの主な種類としては次の5種類があります。
①温度変化による部材の伸縮→ 温度ムーブメント
②地震による層間変位→ 層間変位ムーブメント
③風による部材のたわみ
④部材の含有水分の変化による変形
⑤部材の効果による収縮
これらの大きさは、目地の種類、部材の種類、大きさ(形状・寸法)、色調、取付状態、暴露される状態(方位・日照)などによって異なります。
シーリング材の目地設計は、総合カタログ「目地寸法の設計」をご覧ください。
シーリング材の選び方
シーリング材の特性には、一長一短があり、1種類のシーリング材ですべてに対応することは困難です。
より適切なシーリング施工を行うには、建築物の規模、種類によって要求される性能に対して、目地に求められる諸機能を踏まえたシーリング材を選び出すことが基本となります。
ペンギンシールにおけるシーリング材の選定には、ペンギンシール総合カタログ「適材適所(2成分形)(1成分形)」に記載の被着体に合わせて製品選定をご参照ください。
シーリング材の使い方
シーリング材の代表的なブランドの一つにペンギンシール(サンスター技研製)があります。